4月に発売された、東野圭吾最新作、『白鳥とコウモリ』、読了しました。

発売前から最高傑作と宣伝され、発売初日からブックランキング1位を軒並み獲得。

勢い衰えず、2ヶ月で早くも5刷が決定したという話題作です。


あらすじ


幸せな日々は、もう手放さなければならない。

遺体で発見された善良な弁護士。

一人の男が殺害を自供し事件は解決――のはずだった。

「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」

2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の“告白”。その絶望――そして希望。

「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」

私たちは未知なる迷宮に引き込まれる――。

(白鳥とコウモリ|幻冬舎plusより*)


感想

ページをめくる手が止まらない


電車の広告がとても良く、興味を持ち、

仕事帰りに本屋に立ち寄ると、特設コーナーができていました。

その鈍器のような厚みに思わず吹き出してしまいましたが、

長編小説は嫌いじゃないので、嬉々として手に取りました。


中高生の頃はミステリは大好きだったのですが、

最近はすっかりミステリからは足が遠のいてしまっていました。

しかし久々に、ワクワクドキドキしながらページをめくるという感覚を味わいました。


東野圭吾作品


東野圭吾さんの作品って、映像化されたものはいくつか触れてきましたが、

本で読むのは実は初めてでした。


とっても、イイ。

先の読めない作りこまれた構成、

登場人物は少なくないですが、わかりやすく、

長い物語だけれど無駄はなく、

ミステリだけれど、

人々の感情や想いの揺れを丁寧に描き、しかも、温かい。

読み進めていく中で、何度もじわりと涙ぐんでしまう場面がありました。


ただ事件が起きて、解決を目指すというだけではない、

色々と考えさせられる物語で、

真実を求めていく真剣で切実な想いと怖さと覚悟と…

というようなことをつらつらと思いながら、読後の余韻に浸っていました。


白鳥とコウモリというタイトル


白鳥とコウモリが何を表しているのか、ということに関しては、作中に出てきます。

読んでいるときはただ、「あ、なるほど、それで白鳥とコウモリね、ふむふむ」という感じで

さらっと読み進めてしまったのですが、

読み終わり、最後の場面の余韻に浸り…1日経った頃に、

「えっ!タイトル!!そっか!!」って思う、という…。

東野圭吾さんはやはり、ただのミステリ、ただの人間模様を描くにとどまらず、

そのさらに深い部分を意識的に扱っていこうとされる方なのだと気づきました。


この小説の主題は、ただ事件解決をすることではない、

白鳥とコウモリについて考えることである、ということなのでしょう。


おわりに


あー。いいな。いい。良かった。

ミステリ好きな方はもちろん、

ミステリは普段読まないんだよね、という方にも、とてもおすすめです。

気になった方は是非、お手に取ってみてください。



*白鳥とコウモリ|幻冬舎編集部 – 幻冬舎plus (閲覧日2021/6/17)