目次
はじめに
防衛機制シリーズ、第4弾をお送りします。
心理学を学ぶ方、日常場面で人の心の動きに関心のある方、
他者理解自己理解を深めたい方、是非お立ち寄りください。
知性化 INTELLECTUALIZATION
受け入れ難い事実や現実に対して、「知識」を用いて理解をすることで、
感情を抑圧し、本能や衝動をコントロールしようとする自我の働きです。
一定の知的水準に達し、感情に流されずにものごとを客観視できるようになるということでもあり、
小学校高学年くらいの前思春期あたりから青年期にかけて、
この知性化による対応が活発になってきます。
理屈で処理をするという点では、のちにご紹介する予定の「合理化」という防衛
(すっぱいぶどう、という例えでよく扱われるものです)に近い印象もあるかもしれませんが、
知性化は知識をベースにしているため現実検討が正確、客観的であるという前提があるのに対し、
合理化は現実否認の意味が強くなっており主観的であるという違いがあります。
感情の抑圧により、自分の中に生じている感情を実感しにくく、
知性化という防衛機制を行っている自覚すらない場合が多くあります。
そのためストレスを抱え込みやすいという注意点があります。
ちなみに、前回ご紹介した「隔離」とも似ていますが、それよりももう一段レベルの高い防衛と言えます。
隔離の防衛を使うと、感情は完全に切り離されるため、“感情を感じない”という状態になります。
一方で、知性化を使うと、感情を直接的に表現はしませんが、
ある感情を抱いたことについて非常に客観的に無感情的に認識はなされます。
すると、例えば、淡々と「こういう背景でこういうことが生じたのだろうということだと思います。
もちろん悲しいなとは感じますが」というように、
まるで他人事のように語る、ということが起きたりします。
その人にとって、悲しみを抱くということを知的に認識し論理的思考の末に
受け入れることはできますが、それを実感を持って情緒的に表現することは抑制されているのです。
仕事など、自分の感情を抑え知的に対応する必要のある場面では、
比較的知性化が働きやすいことが考えられます。
知性化の例
・ 不治の病であることを告げられた人が「これまでに色々と治療法の研究も重ねられて来たようですが、
難しいようですね。残念ですが。」などと淡々とまるで他人事のように語る。
・ 友人から理不尽な罵りを受けた人が、相手に対して怒りをぶつけるのではなく、
「人間関係において、衝突が起きることはよくあることです。例えば…」と一般的な知識の話を展開する。
おわりに
今回は、防衛機制シリーズ4ということで、『知性化』についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
まだまだ続きます。次回もお楽しみに。
防衛機制①「抑圧」:https://newvivi.biz/repression/
防衛機制②「否認」:https://newvivi.biz/denial/
防衛機制③「取り入れ」:https://newvivi.biz/introjection/
防衛機制④「隔離」:https://newvivi.biz/isolation/