京都アニメーションの本気



『ヴァイオレット・エバーガーデン 劇場版』

観てきました。


もともとは2018年1月からやっていたテレビアニメシリーズで、

その後、映画では昨年スピンオフ的な位置づけですかね、

『ヴァイオレット・エバーガーデン 外伝』をやっていましたが、

今回は待望の、続編。


制作会社は、京都アニメーション

初めて見たときは、その圧倒的な作画の美しさに、

「テレビアニメでこのハイクオリティ、すごすぎじゃない?!」と友人と言い合っていました。


実物は一見に如かず。

テレビアニメ版の予告PVを載せるので、まずはこちらをご覧ください。



あらすじ


「これから君は、たくさんのことを学ぶよ。

だけど、学ばない方が、知らない方が、楽に生きられるかもしれない。

君は、自分がしてきたことで、どんどん体に火が付いて、燃え上がっていることをまだ知らない。

いつか、俺が言ったことが分かる時がくる。

そして初めて、自分がたくさん火傷していることに気づくんだ。」


主人公は、かつて心を持たない、殺戮の兵器として使われていた少女ヴァイオレット。

物語は、戦争が終わり、病院のベッドで目が覚めるところから始まる。


ヴァイオレットには会いたい人がいた。

孤児で捨てられていた彼女を引き取り、

名前を与え、

生きていくための術を与え、

命令と役割を与え、

片時も離れず傍においてくれた、上官であるギルベルト少佐。

戦場で、共に怪我をし動けなくなっているところに爆撃を受けて以来、

消息も不明となっていた。

少佐は生きている、と信じつづける彼女の様子を周囲の人は痛々しい思いとともに見守る。

戦争が終わり、命令もなく、兵器としての役目のない自分は

処分されるべきであると考えていたヴァイオレットであるが、

少佐から別れ際に与えられたある言葉の意味を知りたいと願い、

彼女は人の心に接する仕事、

郵便社の「自動手記人形」という、人の想いを代筆し手紙にする仕事に就く。


上記の台詞は、彼女を引き取り働かせることを決めた郵便社の社長であり、

少佐の親友でもある、ホッチンズ元中佐の言葉。


はじめのうちは彼女は心がわからないため、クライアントの言葉をそのまま受け取り、

それを兵隊の報告書のような文章で綴り、相手を大激怒させてしまう。

そんな彼女も、様々な人の想いに触れるうちに、次第に人の心の機微や深みを知っていく。


そうして人の心を理解するにつれ、

自分の中にある心にも触れていき、

また、自分が犯してきたことの罪の大きさと、

大量の人を殺めてきた自分が、今度は人と人を結ぶ手紙を書くという行為をしているという矛盾に気づき、

深い葛藤とどうしようもない苦しみを抱くようになっていく。


そんな、ヴァイオレット・エバーガーデンという少女の成長物語。


アニメシリーズでも、とても丁寧に物語が紡がれ

言葉も、音楽も、映像も美しく、

全スタッフが心を込めて、大切に、大切に作られた作品なのだと、ひしひしと伝わってきました。

京アニの本気を見せつけられた、という感じです。

お時間のある方は是非、テレビアニメシリーズから見てみてください。

Netflixでも見れます。アマゾンプライムではもう消えちゃったかな?


そして、もし気に入って、映画も観ようと思われた方は、

どうか、映画の予告編はあえてみないで、映画本編に直行することを強くお勧めします。

私はそのパターンで、本当によかったと思ったので…。

もちろん、内容分かっててもすごくいいですが、

知らなければプラスアルファの感情体験ができます。



感想


映画は、本当に…本当によかったです。

(以下はネタバレなども含まれるので映画を観てからご覧ください。)


テレビアニメシリーズを見た方ならわかる、

一番心揺さぶられた方も多いであろう、

第10話の手紙から映画がはじまるのは、ずるいと思いました。

開始2分でウルウルして、5分で泣いて、

あとは最後まで泣きとおしでした。

(映画の前にマスク着用の注意が流れていましたが、ごめんなさい、

そういうわけで、マスクは無理でした…ずっとハンカチで口もと押さえていたので許してください…)

こんなに最初から最後まで泣きとおしだったのは初めてで、

素敵だったのは、女性客だけでなく、老若の男性客もたくさんいて、

みんな鼻をすすっていました。


前述のとおり私は、予告編や前情報を完全にゼロにして観に行ったので、

ヴァイオレットの心の体験をそのまま一緒に追体験できたといいますか。

彼女の驚きとか、

ある事実を前に、小さな希望に、涙いっぱいためてすがる彼女の心の動きとか、

表情しぐさ一つ一つが胸に突き刺さりました。



少佐の、幼い彼女を大事にしたかった想いも、

それなのに道具として使い、彼女に大量に人を殺させてしまったこと、

彼女から両腕を奪ったこと、

生きる術は教えたけれど、

生きていく上で大切な人の心を教えなかったこと、

彼女から主体を奪い、自分はそこに甘えていたこと…

そんないろんな罪悪感を抱え続けていたこと。

その気持ちも痛いほどよくわかりながらも、


ヴァイオレットのこれまでの成長の中で

少佐が彼女に与えていたものはまぎれもなく、深く大きな愛情で。

その思いが彼女を生かし続け、

少佐のいない世界でも、彼女の生きる道しるべであったこと、

いつだって彼女を守り続けていたことを、

私たち観客は痛いほどに知っているので、

少佐の苦しむ姿が、見ていてとてもしんどかったです。



この作品は、色々と説明的じゃないところも、本当にいい。

映像芸術はこうあるべきだと私個人的には思っているのです。


彼女が、クライアントとして出会い、死に別れた少年から教わった、サムズアップのハンドサイン。

劇中では最初の方で、緊張を和らげるコミカルなシーンとして登場します。

そして、物語の終盤で彼女は郵便社をやめ、大切な人が住む島であり、

かつて沢山殺めてきた敵兵たちの出身地である島に移り住み、そこで代筆業を続けます。

その何十年後かの時代にその島で生きる人が、

ヴァイオレットの名が出ると笑顔でサムズアップサインをだし、くすっと笑う、

そんな、ほんの一瞬のシーンが流れる。


この、表現力。


戦争に行ったその島の男たちは誰一人帰ってこなかったという。

ヴァイオレットは戦争で両腕を失い、義手となっている。

器用に嘘なんてつけるはずのない彼女が、

その姿でその島で生きるということ。

島の人からすれば、仇であり憎き存在であるはずのかつての敵国の兵士。

そんな彼女の存在が、その島で完全に受け入れられ、

その土地の文化にあたたかく根付いていったことが、

この一瞬の表現で伝わってくるのです。



おわりに

(映画未視聴の方は回れ右です…)


とにかく、良かった。

良すぎました。

映像も壮大で美しく、大きなスクリーンで観て本当に良かった。

ハッピーすぎるかな、という感じはなくもない。

最後、会えないまま手紙を送るというのでも良かったと思うし、

会っても別々に生きる、というのでも良かったとも思います。

でも、共に生きていくという道を選んだ彼ら、というか…

スタッフというか…。

なんでしょう。単純に嬉しいというか。

もう、今は、京アニはとことんハッピーで、幸せな物語で終わらせてくださいって思いました…。


話がずれました。

本当に大切にしたい作品、宝物のような作品でした。

この映画に携わった全ての方に、感謝の気持ちでいっぱいです。



下は、テレビアニメシリーズの1巻(全4巻)。ブルーレイとDVDです。