先日、今話題の映画『TENET(テネット)』を観てきました。


第三次世界大戦を食い止めるために奔走するSFアクション


というと、なんだか安っぽい響きだなと勝手に思ってしまっていまして(ごめんなさい)

最初は全然観る気なかったんです。

でも、その後テレビで取り上げられているのを目にして。


クリストファー・ノーラン 監督


この監督の作品、恥ずかしながら実は私、一つも観たことがなかったんです。

聞いたことがある監督さんだなというところで、見てみると…

『メメント』
『ダークナイト』
『インセプション』
『インターステラー』
『ダンケルク』


などなど…。名作を生みだしまくっている監督さんなのですね。

噂はかねがね耳にはしていました。


興行収入ランキング 4週連続1位


なんでも、この『TENET』、

今年9月18日に公開され、

その後リピーターが続出しているということをテレビの特集でやっていて。


インタビューに答える人たち皆、声をそろえて「1回観ただけでは分からない!」と興奮気味に言っていて。



そんなに考えさせられる映画なんだ、面白そうだなと。

週末興行収入ランキングで初登場から4週連続1位という記録も、そんなにすごい映画なんだ!と。



感想


前置きが長くなりました。

そう、それで、観てきたのです。


前情報としては、

未来の第三次世界大戦を防ぐために、時間を逆走して、悪と戦う…という程度。


やー。すごかったです。

何がすごいって、

2時間30分の映画なのですが、


2時間30分、最初から最後までずっと、「?????」でした。


びっくりするほど、笑えるほど、ただただ、意味が分からなかったんです。

こんなことってあるんですね。

初体験です。


観終わったときに、前情報以上のことが残らなかった(笑)


冒頭数十分間で色々説明があったんだと思うんですが、

字幕を読み、理解できなくて、

「ん?え?」と思っている間に次の字幕が出てきて、ということが繰り返され、

完全に置いてけぼりをくらいました。


あとはもうひたすらに、ものすごいスケールのアクションシーンが次々と展開され。

でも頭の中では「いやいやいや、すごいけど、待って、何が起きてるの?何をしているの?」という感じで(笑)



本当に、腹が立つほど理解ができなくて、

これをリピートして観る人たちの気が知れない、なんて思ったりして。


でもその帰り道、翌日、翌々日と、なんだかずっと引きずってしまうんですよね、不思議と。

何だったんだろう。

何が起きていたんだろう、と。


で、調べると、ありがたいことに解説サイトが色々あったので、

読み漁りました。

世の中には頭のいい親切な人が多くてとても助かります。

分かりやすい説明があったり、図式化されていたりで、ようやく理解し、

今度はちゃんと、

これはすごい映画だ、と思いました。


そして、リピートしたくなる気持ちもよくわかりました。


どういうストーリーなのか、何が起きていたのか、

それを私がここで説明しても、(言うまでもなく)大したことは書けないのでここでは省きます。

何故、ここまで「???」となってしまったのかというところについて書きたいと思います。


※若干、ネタバレになりますので、観ていない方はご注意ください。


時間を「逆走」するという発想


普通、よくあるタイムリープものって、

「過去のある時点に行き、その時点の時間の流れに沿って進む」という形が主流だと思うんです。


時点B(過去) ⇒⇒⇒⇒⇒ 時点A(現在)


こういう時間軸があったとして、

普通は、現在の時点Aから過去の時点Bにポンと戻って、また⇒方向に進み、

目的が終わったら、時点Aにポンと帰る。


『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんかその典型ですよね。

日本映画なら、『時をかける少女』とか。

ドラえもんのタイムマシンもそうですよね。


でも『TENET』は違います。

時間軸を、文字通り、逆走するんです。




時点B(過去) ⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 時点A(現在)
          ←←←    時点A(現在)


前者、すなわち普通の時間の流れを「順行」、後者を「逆行」というとして、

人が、ある装置に入って出てくると逆行が始まる。

逆行している人が見る景色の中では、順行の人々が後ろ向きに動き、聞こえてくる言葉も逆さ。


いわゆる、「巻き戻し」がされているように見える世界の中を進んでいく、という感じなんです。


ある時点にポンと飛んだりもしない。

1日前に戻るためには、1日かけて逆行しないといけない。


その、ありそうでなかった(少なくとも私は触れたことのなかった)発想に、

感覚的に理解ができず、

それ以上の考察とか、時空のつじつまがどうなっているのかとか、考えられないんですよね。

思考がストップしてしまう。

それもあって、初見ではもう、意味が分からない、という体験になってしまっていたようです。


『TENET』の矛盾



ここからは、色々な解説を読んでちょっと理解し始めた私が、

引っかかっているところについて書いていこうと思います。


タイムトラベルものって、時間の概念とか、過去に戻るとはどういうことなのかという、

前提といいますか、製作者の世界観が、大事になってくると思うのですが・・・。


まず、この作品は、過去を変えるという動きはしていないんですよね、多分。

というのも、この映画は普通に主人公視点で物語が進むわけなのですが、

映画の前半は、途中途中で事件や出来事が唐突に起きていて、主人公も映画の観客も「???」という感じで。

どうやらその事件や出来事というのは、物語が進む中で主人公が逆行し、

その先で生じていた出来事である、という…

つまり、すでに過去の主人公は、逆行してきた人が起こしている事件をすでに目撃しているという…

伝わりますかね?笑


神様の視点といいますか。つまり、世界では起こることは変わっていなくて。

逆行することも含めて、世界で起こることはもう決まっている、

という概念・世界観が前提になっている物語なのだと思うのですが。

そこはまぁ、なるほど、と思うのですが…


ということはつまり、次元がエンドレスに存在しているということになります。

一番メインの、観客視点・映画の進む視点を生きる主人公の存在する世界の次元をaとして…

要は、1秒前の次元、2秒前の次元、1分前、1日前、10年前の次元、という感じで、

いくらでも次元が存在している、ということ。

これはまぁ、タイムリープものでよくある概念だと思いますが。


一番引っかかるのは、時間を飛ぶことはできないので、逆行したら、

逆行した先の時点B(次元bの世界)でまた順行になったとしても、

本来の次元aの世界にはいつまでも戻れないのでは…?

逆行し始めた時点で、もともと生きていた順行の世界の次元aからその人が消えるということなのか…?という点。

さらに、時点Bまで逆行してそこからまた順行に進んでいくとして、

その次元bの世界には、次元bの自分と次元aの自分が同時に存在していません…?

その世界がずっと続くのって、世界は成立するの…?

一般的なタイムリープものは、元の次元にポンと戻るので、そのあたりはクリアしてると思うのですが…。


上の図で言うと、時点Aから過去に逆行するけれど、次元aの世界は普通に続いているわけで…。


あ、でも、そうか。

時間軸は一つで、その中にいくらでも次元が存在するけれど、世界は全て包含しているのか…。

俯瞰的に見ていくと、

次元aの主人公は時点Bで消えるけれど、

その後、(時点Bまで)逆行し、順行になって(次元bを生きる人々とともに)進んできた次元aの主人公は存在することになるわけですね。

例えば10日前まで逆行し、10日間かけて戻ってきた主人公が元の時点Bには存在することになる…。

(次元bの主人公はそこで逆行するので、その時点からは次元bの世界には次元aの主人公だけが存在する)

でもその場合、周囲の人より20日分、年を取っていることになる…?

次元bを生きる人々の中に、次元aの主人公がいる、というような状態ですね。

例えばもし、5年逆行して5年かけて順行して元の時点に戻ってきたときには、周囲の人より10年経っていることになる…?

(逆行中は体内組織も逆行する・若返る、というような設定はなかったはずなので、逆行してても歳は取るはず…?)


そうだとすると、逆・浦島太郎的な違和感はあるかもしれないけれど、

世界を構成するメンバーとしては成り立つということですかねぇ。

つまり、同一人物が複数いるという状況よりは、大したことのないバグになるんですかね。

時間軸のある区間だけ、同じ人物が複数存在することになるというバグ以外は。


考えながら書いていたら、ちょっとわかってきたきがします…(笑)

しかし、これ伝わってますかね? 

ひどいブログですね、ごめんなさい(笑)


おわりに


ようやく少し理解し始めたところでしかないので、

なんだかふわふわとした感想・考察・混乱しか書けないのでこのあたりで強制終了にします。


でも、解説を色々と読んでいて、いろんなところに伏線がちりばめられていて、

それがどんどん回収されていっていたこともわかり、ますます面白い作品だなと思いました。

(見ているときは伏線にも、それが回収されたことにも気づきませんでしたが…笑)


前情報なく見たら確実に置いてけぼりを食らいますが、

まずはその置いてけぼり感、ただただ圧倒される、という体験も悪くないと思いました。


とりあえず、すごい映画であることは間違いありません。

新しい発想の、新しい映像体験。

気になる方はぜひ見てみてください。

で、よければ解説をよろしくお願いします(笑)